暇な京大生の日常

暇な京大生が気まぐれでテキトーにやってるブログです

夢と朝と冬の海

 

 

 蛍光灯のまぶしさにふと目が覚める。ニトリで買った安い茶色のソファから起き上がると、いつもは窓の外から聞こえる自動車やバイクの走行音でうるさい私の部屋がやたらと静かだった。やれやれ、また電気つけっぱなしで眠りこけていたのか。

 

 

 変な夢を見ていた。

 そこでは、私はまだ高校生でなぜか小さなフェリーに乗っていた。広い客席には私一人であった。大きなソファ席でゴロゴロして、大好きな自販機のコーラを悠々と飲む。不思議なことに味がしない。―外には誰かいるかもしれないな。

 

 デッキに出るとそこは故郷の海であった。風は肌を切るように冷たい。その癖に、潮がべったりと体にまとわりつくようでもある。空は灰色によどんでいて、白い泡が青黒い海に浮かんでいた。ああ、今は冬なんだなと何となく思った。やはり、私ひとりだった。ぼんやりと暗い海が眼下を通り過ぎていくのを眺める。私はこのまま、ひとり流れていくのだろうか。フェリー特有の腹の底をつくような揺れが少し心地よかった。

 

 気が付くと港についていた。何事にも終着点があるものだと先ほどとは真逆の感想を抱いて、船から降りる。港というよりは電停のようでもあった。寂しい場所だった。コンクリートでできた仮初めの大地は、よどんだ空と同じ色であった。なぜか四方を青黒い闇が囲んでいた。向こうの方に小さな四角い建物が見える。私が立つ場所と陸地との間を激しい波が分かつ。あの建物は関所だ。なぜか知っていた。関所まで行けば誰かに会える。そう思って学ランのまま、ザブンと冬の海に飛び込む。目の前を無数の白い星がきらめいている。奇妙にも冷たいという感覚はなかった。今にも流されてしまいそうな激しい闇の中でもがく。小学校の頃、水泳を習っていてよかった。少しは泳ぎの心得がある。飲み込まれてしまいそうになりながらも、少し泳ぐと底に足がついた。なんだ思ったより簡単じゃないか。

 

 陸に上がると、まだギターを背負っていない頃の旧友がいた。私はひとりではなかったのか。小さな関所に入ると天井の蛍光灯がまぶしかった。

 

 

 

 スマホを見ると既に午前3時半を回っていた。今日も一限か、寝なおしたら起きれる自信はないな。バイトがないのが少しだけ救いか…ツイッターを開くと、大学の友人が334とつぶやいている。なんでや、阪神関係ないやろ。ああ、まだライバロリの動画を見ていなかった。ブログも書いてないじゃん。宿題は…まあいいか。

 ティファールの湯沸かし器のスイッチを入れて、その場でぼんやり少し待つ。親から仕送りで送られてきたインスタントコーヒーに湯を注ぐ。

 コーヒーの良し悪しはよくわからないが、評論家気取りで安い味だ、とつぶやく。

 

 カーテンを開けると藍色の空を、生まれたての太陽が下から照らしていた。

 早朝の心地よい涼しさがそこにあった。